by 遠山 峰輝
by 遠山 峰輝
by 遠山 峰輝
UPDATE
2022.12.11
今週の日経ビジネスの特集は「副業で伸びる会社」だ。昨今、「副業」という言葉が脚光を浴びてきているように思える。遠山の中では人生100年時代を説いた「ライフシフト」(リンダ グラットン他著)という本の中での「ポート・フォリオ・ワーカー」という言葉が頭に浮かぶ。その定義に関する細かいことはさておき、100年という長い人生では、教育→仕事→引退というワンパターン、3ステージ人生ではやっていけない、多様な働き方が求められ、その一つとして、個人事業主的にいろいろ仕事に関わる人を「ポート・フォリオワ・ーカー」と言っているのである。
ただ、今回特集で述べられている副業というものに対する視点は、人生100年時代だからというのとは異なる。ここに述べられていることは、「個人に対しては、一つの企業だけで働くのではなく、やりがい、働き甲斐、場合によっては副収入というものを目指して二足のわらじを履く時代、そして企業にとっては、副業を推奨することが、職員満足度を高め、魅力ある会社に、そして結果、生産性を上げ、或いは副業で得た知見がその会社の成長に役立つ」ということである(ずいぶん回り巡る話ではあるが)。更に副業を受け入れる企業の側に立てば、「社内ではない知見やスキルを確保することができる」という点も魅力的であると述べられている。このような副業というものが、コロナ渦、在宅ワークの進展によって加速されていることはあるかもしれないが、その本質的な世の中の流れは何なのか?何がこれまでと変わってきているから副業が注目されるようになっているのか?を考えることが重要ではないかと思う。でなければ、単なる個人のわがままを放置し、企業はそのコントロールが効かないことに対する単なる正当化を行っていると解釈されてしまう。実際、この記事の中では、働き甲斐を求めた社員に副業を認めることは、企業として働き甲斐のある職場を作るということに対する責任放棄ではないのかという真っ向から否定する論者の意見もある。厳しい意見かもしれないが、なるほど本質をついている面もありそうである。この副業、情報漏洩、利益相反、労働時間などのリスクなどがあり、いろいろな意見があることであろう。
さて、今回は、副業とコンサルティング会社というタイトルである。企業が自分の従業員を副業として送り出す場合ではなく、受け入れる場合を想定すると、副業推進社会とは、前述のように、その企業の社内にはない知見やスキルを外部から確保することを容易にすることを意味している。これは、ある意味コンサルティング会社の本質的な価値を脅かすものと捉えることもできる。ただ、一方で我々コンサルティング会社にとっては新たな価値を提供できるチャンスでもある。我々が、企業の副業の受け手として機能することで、自分たちが内部で蓄えるよりも多くの課題に対してコンサルティングができるようになるであろう。実際に、「今、病院で働いているがその専門性を活かしてMCでコンサルティングを行ってみたい」という声は多くある。しかし、病院は、通常、副業を認めていない(医師を除いて(笑))。何事もアンダーグラウンドはよくない(伏業というらしい)。社会はどう変化していくのか?いずれにせよ、コンサルティング会社も、副業というコンセプトを十分に視野に入れながら(出す側、受ける側の両方だ)、また内製にこだわらず、いかにネットワークで仕事をしていくかが問われる時代になりそうである。
と、ここまで書いて、実は副業推進の流れの本質は、社会における人間関係の変化なのかもしれないと思い始めた。近所づきあい、家族、カップル?、いろいろな面で濃いから薄いに変化、絆というものが弱まっていると言われている中、昔と違い、個人が会社にどっぷりつかる時代ではない、一定の距離の置き方、それが副業なのかな?
遠山峰輝