STAFF EYE'S
スタッフアイズ
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UPDATE
2021.09.13
最近、弊社では看護業務改善を手掛ける機会が多く、スタッフアイでもいくつか紹介している。そこで、今回も少し違った角度から病棟の看護業務の効率化の話をする。
病棟の看護業務の実態把握では、過去からの知見による”見るべきポイント”をチェックすることで業務効率化の余地を見定める。必要に応じて何の仕事にどの程度の時間を費やしているのかを把握するためタイムスタディやストップウォッチを持ちながらの病棟観察も実施する。これらの調査を経て、最終的には〇〇の業務効率化で〇〇分の時間短縮などという答えを出すものである。
調査の一つである病棟観察(日勤帯)をやってみると、確かに、朝の申し送りにおいて、夜勤者3人に対し、日勤者複数名が申し送りをするために夜勤者の時間があくのを待つという待ち時間が発生していることや記録に書いてあることを順番に(ダラダラと)読み上げるなど、“申し送りの非効率”や“記録の書き方の非効率”など、業務自体の効率化の余地はいくつかありそうなことに気づく。これらは大なり小なりどこでもありそうな問題である。
こうして病棟観察する中で、更に気になる点がある。看護師は、なんで移動ばかりしているのだろうか?観察当初は、皆忙しく動いており活発な病棟だなと思っていたが・・・。これらの動きにはいくつか理由がある。
①看護師の受持ち患者の物理的な距離が離れていることによる病室間移動・・・病室の近い患者ばかりを受け持つナースも居るが、多くは病室が離れている
②記録するためのナースステーションへの移動・・・ある看護師は、記録を紙に落とし、その紙を持ちナースステーションへ。そこでデスクにすわりPCへ登録
③ナースコールで呼ばれて病室へ移動・・・ナースステーションで着席し記録している最中にナースコールで呼び出され、病室へ出動
④物品を取りに行くための倉庫への移動
⑤その他、リーダー看護師などを探し歩く移動
これらの動きは、実はタイムスタディでは見えないものであった。さすがに移動時間まで記録するのは容易ではない。病棟観察の際、ある人の動きを測定すると、1時間のうちに約10分は移動に費やしていることが分かる。もちろん、人によっては、カートにPCと物品を乗せ、病室で記録するなど、出来るだけナースステーションに戻らない看護師も存在する。
「もっと患者のケアに時間を使いたい」という声を聞く。より患者の近くで仕事をすることで、それが叶うのではないか。受け持ち患者をエリアで分け、専用カートを用意し、そこで記録も済ませてしまえば良い。もうナースステーションに戻らず、患者のそばで業務が出来る環境を作ろう。
坂尾英明