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UPDATE
2022.05.12
最近、「戦略コンサルタントが大事にしている目的ドリブンの思考法」(著者:望月安迪、刊行:2022年3月)という本を読み進めている。「これは病院でも使える!」と思ったので、少し病院の実情に合わせて紹介してみたいと思う。この本では目的設定、目標設定、手段設定などについて解説されているが、今回は「目的設定」にフォーカスしてみる。
より適切な目的設定をするには何に気を付ければよいか?3点のポイントを紹介したい。
1つ目は、病院内の現状を正しく理解することだ。病院内の経営改善等を実施するきっかけは、通常は何かうまくいっていないことがあって、それを解決するためである。しかし、そのような背景を理解できていないまま目的設定をすることがある。例えば、看護部長が院長から「業務効率化を実施したい」と言われた時、なぜそうする必要があるのかを尋ねることなく自分の領域の目的設定をしてしまうような場合だ。それは単に人件費が高いからなのか、負担軽減によって従業員満足度を上げ勤続年数を長くしたいのか等、色々考えられる。前者ならできるだけコストをかけずに効率化することが求められていると予想でき、後者ならITシステムの導入など多少コストをかけても良いかもしれない。そのように背景を理解することで、より適切な目的設定ができるだろう。
2つ目は、自分の立場に合ったレベル感の目的を設定することだ。病院は主に院長をトップとした組織であり、立場によって役割は明確化されているだろう。その役割に合ったレベル感の目的設定が大事ということだ。例えば、あなたが業務改善を目指す病院の看護部長の場合、目的が「外来業務の効率化」でも「看護記録の省力化」でも適切ではないだろう。なぜなら、前者だと看護師以外の医師などの業務改善も含めていてスケールが大きすぎ、後者だと看護記録以外の看護業務の改善ができずスケールが小さすぎるからだ。自分の役割の範囲を明確に理解し、それ以上でも以下でもない目的設定を目指したい。
3つ目は、「~すべき」という使命感を掻き立てたり、「~したい」という意思を生み出したりする目的を設定することだ。いくら客観的に正しい目的であっても、それを達成したいという主観的な気持ちがなければ達成には至りにくい。使命感や意思の芽生える目的とはどのようなものか?例えば非効率な看護業務で看護師が多忙になった結果、入院患者一人一人へのケアが満足に行えていない状況で、「患者さんに十分なケアを行える時間を確保できるよう、看護業務を効率化すべきである」というような目的が立てられると使命感を掻き立てられるのではないか。同じく非効率な看護業務で看護師の残業時間が長くなった結果、看護師の疲労感が大きく自己研鑽の時間なども取れていない状況で、「しっかり休息をとる時間や自己研鑽の時間などを確保できるよう、看護業務を効率化したい」というような目的が立てられると達成したいという意思が生まれるのではないか。このように、使命感や意思の芽生える目的は、より達成できる可能性が高いと考えられる。
以上3つのポイントについて紹介した。もし取り入れられそうなポイントがあれば、貴院でも実践いただけると嬉しい。
河﨑実涼