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医師の時間外労働時間の削減のために

UPDATE

2022.12.08

昨今、医師の働き方改革が進められており、各病院ではその対応に邁進していることと思います。

そもそも医師の働き方改革が始まったのは、医師の昼夜を問わない長時間労働の実態が起点にあります。近年は以前に増して、日進月歩の医療技術や診療ガイドライン・新薬情報等を常にキャッチアップしなければならない等の業務により長時間労働に拍車かかかっている背景もあります。これらは、「患者のために」「日本の医療水準の向上のために」という精神によって支えられてきた働き方と言えますが、一方で医師は医師である前に一人の人間であり、長時間労働による健康への影響が懸念されています。実際に、医師が過労死したり、健康を害したりするケースが起きています。そのようなケースを今後できるだけ発生させないために、医師の働き方改革は必要とされています。

前段が長くなりましたが、弊社でもある病院の『医師の働き方改革プロジェクト』を進めており、その病院は年間960時間以上労働している医師が一定数います。今回は、その医師の残業時間を短縮するためにどうすべきか、医師やその他看護師等へ働き方の実態をヒアリングした上での提案を一部ご紹介したいと思います。

大前提として、クリニックへの逆紹介(による患者数の減少)や医師・その他の医療職員の増員などは重要であり、これらを実施することが根本的な解決につながりやすいと考えられます。しかし、今回はそれ以外の少し意外性のある案をメインに紹介します。

 

  1. データマネージャーの採用

データマネージャーとは、治験におけるデータ入力作業などをする職員です。データマネージャーは大学病院などで採用している場合がありますが、そのほか治験の多い病院/診療科でも、一定の業務削減効果があるとの意見がありました。

  1. 臓器移植コーディネーターの採用

臓器移植コーディネーターとは、臓器提供を考えているご家族に必要な説明を行い、提供から移植がスムーズに運ぶよう調整する職員です。臓器移植の多い診療科では、移植に際するして患者への説明に時間を要し、結果的に残業時間が増えてしまうという意見もありました。なお、臓器移植コーディネーターになるためには、日本臓器移植ネットワークの試験に合格する必要があります。

  1. 移動時間の削減

特に看護師の例では、ナースステーションに逐一寄らずに済む工夫など、動線の最適化のために取り組んでいる病院もあります。医師も同じように、動線の最適化で業務の効率化ができる病院も多いのではないでしょうか。

 

以上です。

これらは実際に医師から実施してほしいという意見のあった取り組みであり、参考になれば幸いです。また、働き方改革の好事例については、厚生労働省から「いきサポ」というサイトで多く紹介されていますので、こちらもよければご確認ください。

 

河崎実涼