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UPDATE
2023.02.24
今、医療界では、タスクシェア、タスクシフトという言葉が流行りだ。タスクシェア、タスクシフトは、働き方改革の推進として注目されている。偏在している業務の一部を移管したり、共同実施したりすることをそれぞれタスクシフト・タスクシェアと呼んでいるようだ。
しかし、タスクシェア、タスクシフトは、今ある業務量はそのままで、それを他の職種に移管することになり、受ける側の現在の業務量を加味しなければならないこと、その結果、患者に不利益にならないことなどを考慮しなければならず、なかなか簡単にいくものはでない。
看護師の業務改善の支援をしていると、どこの病院でも多いタスクシェア・シフト希望は以下の5つである。
①清潔ケアをもっと助手さんにやってほしい
②移動、移送を助手さんやリハビリ、検査室の人にやってほしい
③定期薬、臨時薬の確認を薬剤師にやってほしい
④点滴のミキシングを薬剤師にやってほしい
⑤入院の手続を予約入院も緊急入院も入退院支援センターにやってほしい
しかし、なかなかうまくシェアもシフトもできない。当然、相手の方も暇ではないのだから。
そこで、もっとやりやすいものがある。それは不要な業務を減らすという考え方である。
(タスクcancel?タスクstop?タスクquit?)
実は看護業務の中にはたくさんありそうだ。
①足し算のように増えていく書類を見直し、(チェックリスト等)まとめて必要なものだけ残す
②入院時から出されている指示について、適応基準とストップ基準をつくる(例、畜尿、体重測定、尿比重)
③食事形態、保清の基準、安静度の見直し
④患者への検査や入院時の説明
このような患者ケアや書類は、看護師の忙しさを増大させている。そして、一度導入したものや、医師から入院時に出された指示は見直されることが少ないものだ。
しかし、これらに着目して改善してきた事例は複数ある。
①夜間の巡視の記録の廃止
②状態が安定した際の畜尿や体重測定の基準作りによる業務の削減
③患者の自立度に合った清潔ケアや食事介助の基準つくり (助手さんだけで行っていい患者基準、看護師と助手さんで行う患者基準の策定)
④ビデオによる患者説明
などがある。
タスクシェア、タスクシフトの言葉が流行りだが、まずはこのように今ある不必要な仕事は何かを考えること。それはやりやすいかもしれない。
田中智恵子