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ワイズスペンディング

UPDATE

2023.06.23

経済財政運営と改革の基本方針2023が閣議決定されましたね。

社会保障政策のうち、今年度注力されるのがどのあたりなのかも、この方針を読めばわかります。

毎年、この「方針」のサブタイトルにも興味を持っていて、今年は「加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」となっています。その「未来への投資」の基本的な考え方として随所に出てくる言葉が「ワイズスペンディング」です。

 

ワイズスペンディングとは、経済学者ジョン・メイナード・ケインズの理論的枠組みの一部です。ケインズの理論は、マクロ経済学の基盤となっています。需要が供給を上回らない限り、経済は停滞や不況に陥る可能性があるとの考え方がもとになっており、経済全体の総需要や総供給、所得、消費、投資などの相互関係を分析するためのモデルや手法につながっています。

 

骨太方針においては、将来的に利益を生み出すことが見込まれる事業・分野に対して選択的に投資を行う「賢い支出」という意味合いで、使われているようです。

 

骨太方針より抜粋

「・・・『少子化対策・こども政策の抜本強化』に基づく対策を着実に推進し、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、医療・介護等の不断の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要である。・・・」

 

全世代型社会保障の「全ての世代で能力に応じて負担し支え合う」は、「応能」という考え方に則していますし、「必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される」は「応需」ですから、社会保障政策そのものがワイズスペンディングベースにシフトしているということでしょう。

 

それでは、個々の「経済性」を考えると、病院の事業計画は「将来のための賢い投資」になっているでしょうか。自分たちの能力(機能)に応じた役割を果たし、地域のニーズに応えるための「投資」になっているでしょうか。

次年度計画を検討する際にぜひ、視点として入れていただきたいと思います。

 

そして自分自身の日々の活動も「ワイズスペンディング」ベースで行きたいですね。

 

 

石井富美