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UPDATE
2024.06.14
先日、厚生労働省が、医療機関が掲げることができる診療科名に「睡眠科」を追加する方針であるニュースで聞いた。来年度に向けて検討されるとのことであるが、このニュースから、何が起きているのだろう、どのようなチャンスがあるだろうなど考えてみた。
医療機関が掲げることができる診療科を「標榜科」と言う。標榜科は、医療機関が専門とする分野を患者に伝えることができ、看板やホームページなどに掲載できる。一方患者は医療機関を選択しやすくするメリットがある。診療科というのは、好き勝手に標榜してよいのではなく、医療法の中でルールが決められている。
今回、睡眠科を追加する背景となったのは、日本人は諸外国人に比較して睡眠時間が短いこと、睡眠障害が各種の病気のリスクを高める恐れがあること、睡眠が生産性に影響していることなどあり、本腰を入れたのかもしれない。
そこで、サクッと睡眠障害に関するデータをリサーチしてみた。その結果から、(ビール片手ではあったけど)いろいろ考えてみた。
・某健保組合のデータに、成人の30%に不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)があるとの報告があった。また、睡眠薬の処方率は、40~44歳4.6%、45~49歳5.2%、50~54歳6.3%、65~69歳で9.4%と、加齢とともに高くなるという報告がされていた。
30%が不眠で悩んでいる。もはや国民病だな。年齢が上がるほど眠れない?睡眠時間?睡眠の質?で悩んでいる?
・初発のうつ病の人の30%がまず不眠の症状の訴えるという。
→メンタル疾患を悪化させない為には初動の対策が必要と思われる。睡眠対策は重要だろうなあ。
・睡眠時無呼吸においては、潜在患者数が人口の2~3%(約250万人)はいると推計されている。
→放置することで突然死もある病気だ。健保などは、まず睡眠時無呼吸のリスクを伝え治療を開始することで、社員のアブセンティーズムやプレゼンティーズムの改善につながるかもしれない
一方で、顕在患者は、何に困っているのだろうか。
→恐らく薬を出してもらうことで満足している人もいれば、減薬を希望している人もいるだろう。睡眠導入剤を一生内服し続けるのも医療費だけではなく通院にかかる時間も多いだろう。
潜在患者は、病院に行きたくない、行くほどでもないので自力で解決策を考えたり、他の周辺物品(寝具、サプリメント、補助食品)に頼ったりしている人もいるだろう。
→睡眠ビジネスってこれからもポテンシャル高そう。
一方、病棟看護師の約14%が眠りを助けるために睡眠剤や安定剤などの薬や睡眠補助品を使っているという研究報告もあった。病院にしてみれば身近なところに睡眠の支援が必要な人がいる。看護協会や各病院でもシフト調整をはじめ各種の支援をしているようであるが、健康問題として支援していくのは悩ましい。
そういえば、夜勤中にとる「1時間の仮眠の効果 は、夜勤前にとる3時間の仮眠の効果に匹敵する」とのことから、某施設では、仮眠時間を確保するために早出の勤務を作っているところもあった。また仮眠をとる際、夜勤勤務者同士で、アンカー睡眠(睡眠時間の中で、いつも寝ている時間をつくり、その時間を少しでも確保するという意味)を意識して仮眠を取っているところもある。
今回、ネットニュースで目に入った情報から、これってどうなのだろう?とリサーチしたが、自分の発想を膨らませるには、楽しい時間であった。30分程度の時間でできるので、何か気になることがあったらやってみると、発想の源になるかも・・・
田中智恵子