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スタッフが数字でモノを考えることの重要性

UPDATE

2025.02.14

医療現場では、日々多くの課題や問題が発生し、その解決には迅速かつ正確な判断が求められます。しかし、現場でよく耳にするのは、「残業が増えている」「業務が忙しい」といった感覚的な表現です。これらは状況を表す言葉として一般的に使われますが、問題の本質や具体的な影響を理解するためには不十分です。感情や印象に頼った判断では、問題の根本を見逃す可能性が高く、効果的な改善策を導くことは難しいと言えるでしょう。

一方で、経営層や管理者の間では、数字に基づく議論が日常的に行われています。患者数やスタッフの勤務時間、リソースの使用状況など、具体的な数値をもとに現状を把握し、改善点を明確にしています。

しかし、スタッフレベルでは数字を活用する習慣がまだ十分に浸透していないのが現実です。現場で働くスタッフ一人ひとりが、数字を使って自分の業務や課題を分析し、解決に繋げることができるようになれば、医療現場全体の効率化と質の向上が期待できるのではないでしょうか。

 

スタッフの業務改善と効率化

例えば、残業が増えている場合、単に「残業が増えている」という言葉だけでは、その増加がどれほど深刻なのか、どこに改善の余地があるのかを把握することはできません。しかし、「スタッフの月間平均残業時間が20%増加した」といった具体的な数字を示すことができれば、その増加幅の影響を正確に評価することができます。このように、数字を使って現状を把握することは、スタッフが自分の業務の負担の大きさを認識し、改善策を考えるための第一歩となります。

また、スタッフが数字を活用することで、業務改善のためのアイデアが浮かびやすくなります。例えば、「患者対応の時間が長くかかっている」という抽象的な感覚を、「1日の患者対応平均時間が30分から40分に増加した」といった具体的な数値に落とし込むことで、どの業務に時間がかかっているのか、どの部分を改善すべきかが明確になります。これにより、業務の効率化を図るための具体的な手立てを講じることが可能となり、スタッフ一人ひとりが自分の業務を見直し、改善に向けて行動を起こしやすくなるのです。

 

数字による目標設定と自己改善

数字を使って業務の改善を試みるとき、目標設定が重要です。スタッフが自分の業務を数字で評価し、その結果をもとに目標を設定することは、自己改善を促進します。例えば、月々の患者対応件数や施術数を元に、「前月の患者対応件数が50件だったので、今月は10%増の55件を目指す」といった具体的な目標を立てることができます。こうした目標設定により、スタッフは自分の業務に対する意識が高まり、目標達成に向けた具体的な行動を起こすことができます。

数字を使って目標を設定することで、スタッフは達成感を得ることができ、その成果が次のステップへのモチベーションとなります。また、スタッフ間での成果比較も容易になり、互いに刺激を与え合いながら、全体のパフォーマンス向上に繋がります。これにより、個々のスタッフだけでなく、チーム全体の生産性や効率も向上するでしょう。

 

効率的なリソース管理

医療現場におけるリソース管理においても、数字の活用は欠かせません。例えば、「患者数が増えているため忙しい」といった言葉だけでは、業務の実態や負荷のかかり具合を明確にすることはできません。しかし、「1日の患者数が前月より15%増加した」という具体的な数値を使うことで、どの時間帯に負荷がかかっているのか、どの部門が特に忙しいのかを把握することができます。このデータに基づいて、スタッフのシフトを調整したり、業務の効率化を図ったりすることで、リソースの最適化が実現できます。

また、リソースを効率的に管理するためには、各スタッフの業務量や負担を把握することが重要です。数字を使って、どのスタッフがどの業務にどれだけの時間をかけているのかを明確にすることで、無駄な時間を削減し、労働負担を公平に分担することができます。

 

数字を把握することが難しい場合の対応

時には、数値を即座に把握することが難しい場合もあります。例えば、急な入院や患者数の急増など、突発的な出来事が発生した場合、即座に正確なデータを把握することは難しいかもしれません。しかし、そのような場合でもスタッフにヒアリングを行い、おおよその数値を推定することができます。例えば、「急な入院が発生した場合、残業時間はどれくらい増加するのか?」といった質問をスタッフに投げかけ、その意見を元に推定値を算出することができます。このように、数値が完全に手に入らなくても、スタッフの経験や意見を集約し、現実的な対応策を見つけ出すことが可能です。

 

スタッフに数字で考える習慣を身につけさせることの重要性

スタッフレベルで数字を活用して問題解決に取り組むことは、医療現場の質を高め、業務の効率化を実現するために欠かせません。数字を使って現状を客観的に把握する習慣を身につけさせ、数字でモノを考えられるようになれば、業務の中で生じるさまざまな課題を早期に発見し、改善策を講じることができるようになるのではないでしょうか。

例えば、スタッフが自分の業務を数字で把握し、どの部分の時間がかかっているのか、どの業務が非効率的かを明確にすることで、無駄を考えるヒントにもなるでしょう。

 

スタッフレベルが数字でモノを考えることができるようになることを目標の1つに、問題解決研修を行っています。お気軽にお問合せくださいませ。

 

田中智恵子