STAFF EYE'S
スタッフアイズ
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UPDATE
2025.03.13
「今の環境に満足していたし、メンバーに感謝もしている。でも、まだやってみたいこともたくさんある。どうなるかわからないけど、死ぬときに後悔したくないって思って飛び出しました。」
初のソロライブのオープニングで30代半ばのミュージシャンが語った言葉です。
「どうなるかわからないけど」については、計画性を持とうね、という親心が出ましたが、人生最後の時をゴールとして捉えて、その時の理想の心情(あるべき姿の自分)をぼんやりとでも想定して、現状とのギャップを考えた末、新たな道を歩み始めた若者に、心からのエールを送り、総立ちのライブで盛り上がりました。
「なんだかうまくいかない」、「違和感がある」という曖昧な感情も、「どうすれば目の前の問題を解決できるか?」といったちょっと具体的な思考も、その先に「本来、理想の状態はどんなものだろう?」と考えることで、そもそもの課題が明確に見えてきます。
理想の状態(ゴール)を明確にすると、それと比べて「今、足りていないもの」や「本当に解決すべきこと」が浮かび上がってくる。そして、やるべきことがはっきりするから、目の前の選択も変わってくるのです。 大切なのは「理想の状態(ゴール)」を描くことです。
「ゴールから今を見る」という考え方は、個人の人生設計だけでなく、組織の課題解決や業務改善においても非常に重要であり、問題解決の基本です。多くの企業や団体が日々の業務に追われ、目の前の問題解決に終始してしまいがちですが、真の改革や成長は、組織の理想像を明確に描くことから始まります。
組織においても、個人のそれと同じように「現状の延長線上」でしか物事を考えられない傾向があります。これは、日々の業務や既存のプロセスに慣れ親しんでいるがゆえの自然な反応です。しかし、この思考パターンは、組織の視野を狭め、革新的なアイデアや抜本的な改善の機会を見逃す原因となります。
ここで重要になってくるのが、組織外部からの客観的な視点です。内部の人間だけでは気が付きにくい課題や可能性が、第三者の目を通すことで明らかになることがあります。これは、組織が「理想の姿」を描く上で非常に有効な手段となります。
組織が「理想の姿」を描くためには、まずは組織の強み、弱み、核となる価値観を深く理解することから始めます。SWOT分析などのツールを活用し、客観的な自己評価を行うことが多いと思いますが、業界動向、競合他社の動き、技術革新など、組織を取り巻く環境を広く調査するには、有識者の協力が不可欠です。経験豊富な外部コンサルタントを招き、客観的な分析とアドバイスを求めることで、組織内部では気づきにくい課題や機会を発見できます。また、異なる業界の組織との交流は、新たな視点やアイデアを得る絶好の機会になりますので、ぜひコンサルタントのアドバイスを受けることをおすすめします。
さて、若者の新たな旅立ちを見届け、「人生の最後に後悔しない」ために、今の自分はどう過ごすのか、を考えながら帰途につきましたが、これってACP(アドバンス・ケア・プランニング)につながりますね。最後まで口から食べたい、家族と話したい、自宅で過ごしたい・・・など、理想の最後の時の過ごし方を考えるからこそ、日々の生活の仕方、医療や介護の受け方を具体的に考えられます。長く在宅療養を続けていた義母を先日天国に見送りましたが、義母は「病院はイヤ、好きなものだけ食べたい、タバコを吸いたい」と明確な意思表示をしてくれていたので、自宅で最後の日まで「好きなように」過ごしていました。ACPを尊重してくださった医療従事者の皆様に感謝しています。
石井富美