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患者家族として②~医師ってすごい~

UPDATE

2018.08.09

私の身内(文中では患者と表現)が、病気で1年ちょっとの間、大病院(いわゆる急性期病院;DPC)でお世話になり、無事に自宅退院した。退院先選びに関して思ったことは前回staffEYEにてお話したが、今回は、術前カンファの話。患者は、手術をしないと治る可能性が極めて低かったため、比較的高齢で体力的な不安がある中でも手術実施の意思決定をした。そして、この術前カンファは、手術予定日の約3週間前、執刀医1名と看護師1名、そして患者本人と家族がパソコン1台とホワイトボードがあるこじんまりした部屋で実施された。
カンファは、医師主導で、“手術成功に向け外科チームも全力を尽くす”といった内容の話から始まった。正味一時間のカンファの主な内容は3つ。「1.手術実施の判断について(直前の患者状態による実施可否の判断)」、「2.実際の手術のやり方について」、「3.術後の過ごし方や急変リスクについて】という感じで術前→術中→術後みたいな感じで整理されていた。それぞれの話の内容は以下の通り
1.手術実施の判断について(直前の患者状態による実施可否の判断)
もともと高齢のため手術を実施すること自体ハイリスクという中、その時点の各種検査項目の値が提示された。手術直前の最終検査値において、A値が〇〇以上、B値が〇〇以上・・・に達していれば予定通り手術を実施しますという説明がされ、このペースでいけば手術は実施できるでしょうということだった。仮に一つでも下回っていれば、状態が上向くまで、引き続き投薬とリハビリを実施するとのことであった。

2.実際の手術のやり方について
では、実際にどんな手術になるのかという話に入ると、医師がホワイトボードに書き始める。もう少しインクの出るペンは無いのか!(まあよくあることだけど)と思いながら見ていると、いくつかの臓器が上手な曲線で描かれ、「切って繋げる」「取り除く/切除」など説明に合わせ、該当する絵の部分を消し、書き直しを繰り返しながら絵を変えていく。とにかく見事な説明。医療ドラマの術式説明の際に画面下などで表示される図、まさにあんな感じの説明がホワイトボードで行われた。

3.術後の過ごし方や急変リスク
当然のことながら手術が成功してもリスクはある。食事も含め生活面のアドバイスや患者本人の前向きなリハビリや家族の精神的サポートなど説明が行われた。急変リスクについては、術後〇〇日~〇〇以内の急変による死亡率〇%、〇〇日経過以降30日以内は〇%と過去のデータからの説明がされた。数値で示されると覚悟も決まる。

全部の説明が終わった瞬間、なんとわかりやすい説明!と思った。質問しようと思っていたことも、すべて答えてくれていた。手術決行の基準値の説明、術式は絵で示され、リスクについては経過日数別に数値で示された。非常に明快で納得。正直、患者の年齢的なこともあり手術実施自体のリスクと術後リスクについては、決して低いものでは無かったが、万一何かあったとしても、この医師でダメなら仕方ないと思えた。気が付けば医師への信頼感100%だった。
我々の仕事もこの“わかりやすさ”がとても重要なのだが、そこが実はなかなか難しく反省することも多い。もっと言えば、わかりにくいことに気づかないケースも多々ある。今回“わかりやすさ”の大切さを感じるとともに、そのために何が必要なのかを改めて考えさせられた。
最後に、無事に手術が終わったことは言うまでもないが、術後に切除した臓器を持ってきて見せられたときは、さすがに驚いた・・・やっぱり医師ってすごい。

坂尾英明