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思いやりとすれ違い

UPDATE

2018.10.25

なんだか恋愛コラムのようなタイトルですが、今回は実際に出会った事例を基にお話しようと思います。

皆様は、自分は相手のためになると思っている行為が、本当に正しいか不安になって行動に移せなかったり、逆に思い切ってやってみたけれど想定と違って感謝される結果にならなかった、というご経験はないでしょうか?

この場合、そこには「ある行為」に対する自分の認識と相手の認識にギャップが存在します。

先日、とある急性期病院と回復期~慢性期病院の間で、そんな「相思相愛の筈なんだけれど上手くいかない…」という事例に遭遇しました。

その急性期病院はこれまで、患者を転院させる際に、「○○科の疾患なんだから、○○科の先生がいる所でないと失礼かもしれない。なるべく○○科のある病院を探そう!」と思って、転院先の病院の診療科を調べながら慎重に探していました。

ところが、連携に関して相手の回復期~慢性期病院と話し合う場を設けてみたら、相手は「うちは○○科じゃないけど、おおよそ慢性期に近くなってきている患者なら大方見られるし、その処置だったら勉強しているから○○科の先生と同じような治療はできますよ」と、実はとても懐の広い病院だったのです。

結局、この話し合いでお互いの今までのすれ違いを理解し、歩み寄ることが出来ました。

こういったすれ違いは「相手が大変だろう」という思いやり(気遣う心)から来るものですが、時にブレーキになってしまうことも多々あるように感じます。また次回書こうと思いますが、逆に、「相手はこの位は出来る力量があるだろう」という認識にギャップがあることによって、実は相手が困ってしまっているパターンもあるでしょう。

「相手を良く知ること(顔が見える連携という感じでしょうか)」が、スムーズな連携を行う上での大きな鍵になるのではないでしょうか。お互いが人手不足や診療報酬上の縛りなどの諸事情を知った上で、「では、お互いどこを譲り合いましょうか」という話し合いが出来る環境が広まっていけば良いなと思います。

櫻井りえ