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看護師の働き方改革

UPDATE

2019.04.25

今、働き方改革が議論されていますね。厚生労働省のホームページを見ると、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人一人がより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します」と記載してあります。具体的には残業の削減や、有給取得率アップなどが指標として議論をされていますが、看護師の場合の働き方改革には、どのようなことがあるのでしょうか。

 

看護師にインタビューをすると、ほとんどの看護師が「私たちは患者さんのケアをしたい」「看護をするために看護師になった」などという言葉を聞きます。このような言葉の背景には、ケアができていないという現実があります。

そこで、今回は別の視点で、看護師の働き方改革を考えてみたいと思います。

 

看護師はどのような仕事をしているのでしょうか。統計データとしては、直接看護(患者に接してケアしている時間・・・検温、点滴、清拭など)、間接看護(患者のデータや状態把握のための時間・・・申し送り 記録など)、その他(教育研修、会議など)などでデータを取っているところが多いようです。

看護師は、間接看護を減らし、直接看護を増やしたいと思っているのですが、国内の論文や、弊社が看護師業務のタイムスタディをした結果では、直接看護より間接看護が多い結果が多く見られています。

 

業務の効率化や質の向上として、ITの導入やクリニカルパスの導入がなされてはいますが、昨今の事情により、訴訟対策としての患者説明資料の増加、記録などが増えている事実もあります。また、看護師は自分の勤務中にあった出来事を詳しく書きたいと言う思いが強く、看護記録が冗長になるきらいがあります。冗長な記録は、次の勤務をする看護師が、読むのに時間がかかり、「結論として次に何をすればいいの?」と内容が正確に伝わらず、別の情報を得るために奔走しなくてはならないことも起きています。

つまり、「残業で記録をする」「勤務開始前に来て記録を読む」ことが看護師の残業につながっている可能性も考えられるのです。

 

働き方改革は、健康経営の中でも論じられていますが、生産性の向上とセットで考える必要があります。看護師にとっては、アセスメント力(現状態の把握と何をすべきかが明確であること)と記録力を強化していくこともその1つではないかと思われます。

田中智恵子