STAFF EYE'S
スタッフアイズ
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UPDATE
2019.06.13
以前、ベッドコントロールの課題に取り組んだことがある。ベッドコントロールという言葉は色々な意味で使うのかもしれないが、その時は、ベッドが空いているにも関わらず、患者の受入れ(特に日中)が円滑に行われないということだった。実際に現場で確認してみると、一定期間の調査では、4~5回に1回は病棟で受入れ拒否が起こっており、大抵はひとつの病棟が拒否するだけでなく、複数の病棟に受入れ依頼をした上で、最終的にどこかの病棟が引き受けるという状況であった。この状況は、緊急患者受入れのうちの2割程度の出来事なので頻繁に起こっている事象ではないかもしれないが、特に関係するスタッフは皆モヤモヤしストレスさえ感じていたのだった。受入れを拒む理由は、やれ今日は重傷患者が多いとか、さっき新入院を受入れたばかりとか、他病棟のほうがベッドに空きがあるじゃない!とかさまざま・・・やはりどの病棟も忙しいので出来れば予定外や緊急の受入れはしたくないというのが本音であろうか。
この課題解決は、最終的に看護部の皆で“忙しさ”を定義し、指標化して忙しさが公平になるように受け入れ先を決めるということをやったのだが、最初に実施したのは“空床”の定義であった。ある時点(仮に朝8:30とする)におけるベッドを分類してみるとこんな感じである。
・「継続使用」:継続して入院患者が使用するベッド
・「空床予定」:本日退院または他病棟への転出で空床となるベッド
・「使用予定」:本日予定入院や他病棟からの転入で占有されるベッド
・「明日以降使用予定」:明日以降、予定入院や他病棟からの転入で占有されるベッド
・「空床」:空きベッド
どの病院もわざわざ空床の定義などしないのかもしれないが、この病院は病棟間でも看護師の間でも異なっていた。ある病棟では明日以降の入院予定ベッドは占有扱いし、ある病棟は、がんばって空床扱いで患者を受入れる。もちろん、その時の状況にもよるのだが、「明日以降使用予定」のベッドは空床扱いなど、ベッドは大切な資源だからこそ有効活用に向けて共通認識が必要ではないか。ごくあたりまえのようなことだが、ベッドコントロールの第一歩である。この手の認識の不一致は、空床の定義以外でも起こっているのではないだろうか。
坂尾英明