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引き算の看護ケアを考える

UPDATE

2019.10.24

「先生、足が痛いんだけど」「先生、お通じがでてない」「先生、最近眠れない」など外来で患者さんがいうと、湿布、下剤、睡眠薬など薬が次々に処方され、いつのまにか定期薬処方になり薬が増えていく。そのような光景をよく眼にします。

医療費の中でも投薬に関する費用は大きな課題として取り上げられています。

 

このような背景の中、薬剤師の介入により残薬削減効果が報告されたり、健康保険組合連合会が病院で処方される薬のうち湿布・花粉症の治療薬など市販薬で代用できるものは保険適用外とする案を発表したりと、投薬の医療費削減は今後も注目され、進んでいくことでしょう。

 

この減薬に看護師がどう関われるかを考えてみたいと思います。

まず、睡眠薬ですが、病棟では眠れない患者に対して、睡眠導入剤などを頓服で内服させて良いとの指示が出されていることが多いものです。入院時に眠れない、(入院してなくても)不安で眠れないということは、一般的にもよくあることです。

睡眠の衛生指導では、このような状態の時には、薬を使わずに対処します。考えている時は脳の温度が上昇しています。つまり、脳の温度を下げれば考えなくなり、結果眠れるというメカニズムがあります。このような場合、耳から上の頭(後頭部)を冷やすと眠れるのです。枕の上半分に乾いたタオルを冷凍して敷いて寝たり、アイスノンを置いたりすることで、眠り始めの脳の温度が下がり睡眠が取りやすくなります。私の同僚のコンサルタントは、遅くまで仕事をして、寝ようとしてもエクセルが頭に浮かんで眠れないと言っていましたが、脳の温度をさげることで眠れるようになったと言っていました。

実は、睡眠は、私たちの看護力でお薬に頼らないケアができるものなのです。

 

便秘もしかりです。

3日排便がないと下剤の指示をもらうことが多々あります。排泄ケアのスペシャリストは、便の性状をみて、何をすべきか、投薬の場合は何をどの程度使用するかを専門的に判断しています。

ただ単に、眠れないから眠剤、便秘だから下剤と薬の指示をもらうのではなく、

専門的ケアの知識の習得により、看護の力で投薬に頼らないケアを目指してみるのも看護師の醍醐味かもしれません。

 

田中智恵子