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現場主導の経営改善 ~問題解決型研修「実践型」より~

UPDATE

2019.12.13

弊社サービスの教育研修プログラムに「問題解決能力の向上」に特化した研修がある。この研修は、お試し編の講演形式のものから講義・ケーススタディ中心の基礎編/応用編、自分で課題を設定して改善活動を行う実践編と段階的に学べるようになっている。

中でも特徴的なのが実践編である。最初に問題解決の講義で学び、あとは自分で設定した課題を他部署と協力しながら改善し目に見える効果を出す。更に最後には院内でプレゼンするといった長期の研修である。受講者にとっては結構ハードで成果が求められるためプレッシャーもある。その時講師となる私自身は、問題解決スキルを提供する一方、個別に具体的な事例や現場ならではの悩み等を学べることに魅力を感じている。

この実践編を今年もいくつかの病院で実施した。そのうちの一つの病院は経営的にも黒字で安定しており、経営改善の必要性というのは強く感じてない中で人材育成を主眼において実施した。

実際に取り組んだテーマ(一部)と概要は以下のようなものである

 

1.多剤服用患者の減少を目指したポリファーマシー対策の取り組み

a.背景:高齢者の多剤併用による有害事象(老年症候群など)の抑制に向け、診療報酬による評価が開始する中、自院でも多剤服用患者の薬剤数を見直しながら

薬剤起因性老年症候群を抑制&薬剤総合評価調整加算算定を目指して実施

b.目標設定:成果指標の設定(入退院時の内服薬薬剤数変化量とPIMs(高齢者で特に注意を要する薬剤)薬剤数変化量。入退院時の「転倒転落リスクスクリーニングシート」に基づく 症状スコアの変化など

c.多剤服用患者分析と実行課題、解決策立案

d.実行:医師、その他職種への理解促進に向けた勉強会開催や具体的な薬剤数見直しフローの構築など

e.結果:内服薬薬剤数の減少と症状スコア減少

 

2 .地域包括ケア病棟の収益最大化

a.背景:地域包括ケア病棟を開設し、ポストアキュートを軸として運営。病床稼働はそれなりに維持していたが、急性期からの転棟が円滑にいかずに機会損失を起こしていた。具体的には、転棟タイミングの遅延と本来転棟すべき患者の未転棟による患者一人当たり収益の機会損失。その額月当たり○○百万円

b.目標設定:今回は、メイン指標として病棟収益と利用率、サブ指標として急性期病棟の在院日数や入院期間Ⅲ越え割合などを設定

c.問題の把握:転棟オペレーション分析と解決策立案

d.実行:新たな転棟ルール構築とその運用開始。例えば、患者別転棟日や経済性変化の見える化・システム化の実施など

e.結果:機会損失解消=収益向上

 

上記以外に挙げられたテーマに「離床センサーの適正利用によるインシデントの削減」や「リハビリ部門からのアプローチによる誤嚥性肺炎の再発防止」など、医療の質と呼べそうなものから、直接的にお金に換算出来るものまで。この研修を通じて、個々の視点からまだまだ改善すべき点が見い出され、結果・成果も出るという訳である。そう考えると、病院の収支がどうであろうと、病院の課題は尽きず、まだまだ多くの改善余地があると感じるとともに、私自身も多くの病院の問題解決に関わりたいと思う。

 

坂尾英明