by　遠山 峰輝

前回はコンサルタントの責任に関して書きました。今回はコンサルタントの権限に関して。ほぼ20年前に前職から独立して間もなくの頃。当時では名前が大きく知れた病院長の会合に呼ばれ、その後の懇親会で彼と話をする機会がありました。記憶は曖昧ですが、弊社のコンサルティングのアプローチに関して講演をしたのだと思います。懇親会の席で、病院長から「コンサルタントはいいよな。理想論を掲げ、言いたいことを言えばいいのだから。こっちは現場を抱え、そうはいかない」と。これは半ば皮肉を込めた言い方であったため、正直、ムッとして「病院長はいいですね。権限があって。考えたことを直接実行に移せるのですから。うらやましい。僕も院長をやってみたいですね。」と。一見、嫌な雰囲気になったと思えるかもしれませんが、おそらく、その会話がきっかけとなり、面白い奴と思われたのか、懇親会での二人の話が深まり、その後もいい関係を続けたのだと思います。コンサルタントは提案はできても意思決定をする権限はありません。つまり権限が無い中、どう経営幹部、そして現場を動かすのか、そのために、クライアントとの良好な人間関係を構築しつつ、知恵を伝うのがこの商売の本質であり、面白みの一つでもあります。「権限を持たずに人を動かすプロ集団」、これが我々です。

遠山峰輝