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スタッフアイズ
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UPDATE
2020.12.14
早いもので、あと3週間程で今年も終わる。振り返ると今年は、特に現場の皆様と議論をする機会が非常に多かった。今回はこの一年の最も印象的だったプロジェクトについてお話する。
経営改善チームの一つとして救急車の断り改善チームを発足した。この病院には、日中の救急車の依頼の約3割を断っている現状があった。ちなみに理由は「患者対応中」。夜間ならまだしも、医師が大量にいる日中でこれはいけない。救急隊は地域の病院の特徴を熟知している。患者の状態をみて、対応できない可能性がある病院にはそもそもコールをして来ないのだから。
では、その後の改善チームの活動結果はどうか。なんと先月の実績でほぼ100%の受け入れとなった。本当に素晴らしい限りである。院長、副院長を始めとした病院幹部、改善チームの皆様の努力の賜物だと思う。この地域の救急隊も非常に助かっているはずだ。
そういえば以前、地域の開業医に対してニーズのヒアリングに伺った際、「困って受入れ要請をしているのだから、1泊でもよいから入院させてもらいたい」という悲痛の声を聞いたことを思い出す。開業医や介護施設もまた救急隊と同じだ。皆困っているから病院に受入要請をしているのだ。それを断らないだけで、どれだけ地域医療に貢献しているだろうか。
この地域は、医療過疎地域というわけではなく、むしろ比較的病院が密集している地域である。一方で、このまま、「断らない病院」と認知されることで、この地域になくてはならない存在になると思う。周辺の病院の数に関係なく、この病院にしかない価値を見出すことで、周辺病院と一線を画した存在なるはずなのだ。
話は変わるが、弊社は医療コンサルティング会社だ。コンサルティング会社はこの世に数多存在する。一方で弊社ならではの価値が充分にあると感じている。「組織の中に入っていき、改革案を結果に結び付ける」、「徹底的にイシューを絞り込み、最大限のインパクトを出す」といった部分はまさしくそうだと思う。しかしながら、その価値はなかなか外部からは見えにくいことも事実である。浸透させるには、今回の事例の病院のように我々も地道に愚直に結果を出していくしかないのだと思う。
私もまだ修行中の身ではあるが、「弊社にしか出せない価値は何か」を念頭に置き、今年の残りを走り抜けたいと思う。
井上和樹