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アンラーニングを取り入れた看護師のモチベーションアップ法~複数科を扱う混合病棟の看護師の不安改善~

UPDATE

2021.01.14

医療の専門性を考えた場合、医師は自分の選択した専門がほぼ一定するのに対し、看護師は病棟異動で違う専門分野を学ぶことが多く発生します。医師が1つの分野を深める特性に対して看護師は幅広く学ぶ必要があると言えます。

 

ある病院の調査では、約42歳の看護師だと平均6回の異動を経験しているという結果がありました。3年に1回は異動しているということになります。

ライフサイクルにあわせて働く場を変えられるメリットはありますが、変わることがストレッサーにもなるとの報告もされています。

異動時のストレスの上位には「知識・技術不足」との報告が多くなされています。

 

今回、某大学病院の問題解決研修で、混合病棟での看護師のモチベーションアップを目指した取り組みを実施しました。

アンケート調査の結果、混合病棟故に、多科の患者を受けいれて看護をする際、知識技術不足を不安に思っている人が多いことがわかりました。

そこで何の知識技術を強化すべきか優先順位を決める為、科別の入院患者数分析、看護ケアの中で生命に寄与する知識、技術の大きさ分析、知識技術の不安の大きさ分析等を実施しました。フレームワークで整理し、患者数が多く知識技術の中で患者の生命に大きな影響を与えるものを選択し勉強会を取り組むことにしました。

勉強会には、皆が楽しめる仕掛け(誰が講師になるか、前後の評価をどうするか、継続的に学ぶ仕組みをどうするか等)複数入れこみました。

このような取り組みをした結果、業務に対する不安が大きく軽減(27%減)苦手意識が8%減、やりがいが5%増加したという結果となりました。

 

看護師は勤勉な職種と言われます。また、その専門性には、1つの分野に特化した認定看護師、専門看護師などの分野もありますが、一般的にはジェネラリストで部署を異動していく看護師が殆どです。

日進月歩の医療下で平均3年毎の部署異動では、看護師資格を持っていても知識技術に対する不安は大きいものです。それがストレッサーになっていると尚更、部署での学びの取り組みが大きく改善につながります。

看護師のアンラーニング(一度学んだ知識や価値観を意識的に捨て去り、再び学び直すこと)の場を現場に導入することは今後も必要になっていくのではないでしょうか。

田中智恵子