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スタッフアイズ

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離職改善のための相互理解の実践事例

UPDATE

2021.02.04

ICUでの若手の離職が多く、中堅層の減少が進んでいる病院の改善事例である。

看護師の場合、職業柄女性の割合が多く、ライフイベントによって離職している可能性もあるが、他の看護部の部署と比べて離職率が高いため、ライフイベント以外でも何か離職につながる要因があるのでないかと部門内でディスカッションを行い問題点の抽出を行った。この時点で仮説ではあるが、人間関係が一つの要因として挙げられた。看護師の離職に関する文献でも離職の要因として人間関係が多く挙げられている

人間関係が要因であるかを検証するために、現状のICUの新人教育について、スタッフの想い、職場環境についてアンケートを実施した。アンケートは、ICUにおいて新人教育の経験があるスタッフ(4 年目以上)と新人教育未経験(1~3 年目・異動者を含む)に分けてアンケートを実施した。回答数は教育未経験者 16 名、教育経験者 26 名。アンケート結果から、今後 ICU で働き続けるには何を改善するべきかという質問に対し、両者ともに「人間関係」が上位にあがった。「先輩と後輩との関わりにおけるストレス要因」として、教育未経験者では「威圧的に質問される」「緊張して声をかけられない」「先輩が忙しそうにしているので声をかけられない」。教育経験者は「分からないことをそのままにしている」「勉強しない」「状況報告ができない」「アセスメントができない」などがあがった。

アンケート結果からはお互いに相手の行動を決め付けているようであったので、相互理解するために、この結果を踏まえて部内でカンファレンスを実施し、アンケート結果をスタッフに周知した上で、スタッフが考える働きやすい環境について意見を出した。「挨拶は大事」「人間性を否定しない」「気遣いがない」「コミュニケーション不足」「休憩中も空気が重い気がする」など多数の意見があがった。それぞれの年代を交えてカンファレンスを実施したことにより、「そんな風に思っていたんだ」「私大丈夫かな」「気をつけよう」等の意見が出てスタッフが自分の行動を振り返ることやお互いを知る機会となった。しかし、それぞれの行動に関する課題は明らかになったが、このまま終了すると意識しなくなるので、スタッフの意見を基に働きやすい環境にするための行動を視覚的に表示し、スタッフ全員が常に意識できるようにしたのでここに紹介する。病院に限らずどのような職場であっても、参考に出来るのではないだろうか。

 

みんなで働きやすい環境を作りましょう!

・笑顔であいさつしよう

・気遣い・感謝を忘れずに

・良いことをしたらお互い褒めあおう

・人間性は否定しない

・嫌な顔をせず協力しよう

・後輩のケアは根拠を伝え、時には一緒に考えよう

・威圧的・不機嫌など、他人にあたっていませんか?

 

髙橋俊一